「語学」という言葉は,厳密な意味では日本語にしかありません。辞書で引けば language study と出ていますが,これからも「勉強」ではあっても「学問の一分野」ではないことが分かります。もちろん,言語学 linguistics や,英文学 English literature は立派な学問ですが,言葉そのものを勉強することは学問にはなり得ません。もし,学問になるとすれば,英語と仏語の両方を喋ることができるケベックの人達はみんな学者ということになってしまいます。 何も学問だからすばらしい,そうでなければだめだ,と言っているのではありません。誤解を避けるためには,言葉は正しく使われる必要があります。その意味で,語学という学問が存在しない以上,「語学留学生」という表現は(一般的に使われていますが)適当ではなく,「英語を勉強するために滞在している人達」と呼ばれるのが正しく,「留学生」という表現は不適当です。 私は語学留学に反対しているわけではありません。英語を勉強するために滞在することは大変有意義なことです。ただし,これに「留学」という言葉を当てはめて何か学問的な雰囲気を出して,金儲けをしている業者と,それに踊らされている人たちが問題だと思っています。 差別や偏見は絶対にあってはいけませんが,正しく物事を理解する上での正しい「区別」は必要だと思います。