サッカーのワールドカップ(W杯)開催を前に、暴力的ファン・フーリガンを主人公にしたパソコンゲームが波紋を呼んでいる。来月にも発売される「フーリガン(日本語版)」で、プレーヤーはフーリガンのリーダーとなり、サッカー場や周辺で暴れるという内容。英国では成人対象に指定されたいわくつきのゲームで、フーリガン対策でピリピリしているW杯のサッカー場周辺の住民からは「とんでもない」と非難の声が上がっている。
「フーリガン(日本語版)」を作ったのは、オランダのゲーム会社「DarXabre」。「欧州で最も有害で悪名高いフーリガン」を組織することがゲームの目標で、プレーヤーはビールを配って部下を統率し、敵対するフーリガンや警備員を殴り、サッカー場や周辺施設を破壊していく。
すでに発売されている欧州では、サッカー関連団体から販売中止を求める声が上がったが、オランダなどで大ヒット。一方、熱狂的なサッカーファンが多く、フーリガン対策に頭を悩ませてきた英国では、政府認定の審査機関が2月、18歳以下への発売禁止を決めたほか、取り扱いを見送るゲーム店もあった。
日本でこのゲームを販売する会社は「フーリガンを題材にしたものといっても、あくまでもゲームで実害はない」としているが、W杯の試合が行われる競技場周辺では、警察がフーリガン対策の大規模訓練を行ったり、住民が自主防犯組織を結成したりするなど緊張が高まっており、フーリガンの暴力をあおりかねないゲームの販売に怒りもあらわ。
会場のひとつ、埼玉スタジアムの近くに住む主婦(65)は「みんながフーリガンの暴動を心配している時に、人騒がせなゲーム。とんでもない。フーリガン行為を助長することにならないかと心配だ」と話す。
同スタジアム最寄りの浦和美園駅を持つ埼玉高速鉄道の広報担当者は、「当社では安全輸送第一に全力を挙げているのに、そんなゲームが出るのは好ましくない」と苦り切った様子だ。
ゲームアナリストの平林久和さんは「最近、こういった低俗な作品がよく出回る。ゲームが犯罪を助長するメディアとは思っていないが、犯罪・戦争などを題材にすることは卑しく、フーリガンは特に悪趣味だ」と厳しい評価を下している。(読売新聞)
Hooligans: Storm Over Europe - impress。ゲーム情報とデモ版。
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20020215/demo0215.htmどう思います?