★若年フリーター急増に警鐘 15年度国民生活白書
竹中平蔵経財相は、15年度の国民生活白書「デフレと生活−若年フリーターの現在」を
30日の閣議に提出した。
長びくデフレと雇用環境の悪化で若年層フリーターが増加。これにより若者は職業能力
向上の機会を奪われ、日本経済の競争力が低下。
一方で低所得による未婚・晩婚化は「少子化を深刻にさせ、経済成長が制約される恐れが
ある」と危機感を示し、政府・日銀によるデフレ克服と、雇用拡大策の重要性を指摘。
企業が求める人材の高度化、即戦力化に対応し「高校や大学の教育を見直すことも必要」
と訴えた。
白書によると、フリーターの数は2年の183万人から年々増加し、13年には417万人。
学生と主婦を除く15−34歳の若年層人口の21・2%を占め、10年前の10・1%と
比べ倍増。特に25−34歳の増加が著しい。企業が価格低下に対応、正社員を減らして
低賃金のパートやアルバイトを増やしたためだ。
「定型的、補助的な業務」が大半のフリーターは、パソコン操作などの職業能力が同世代の
正社員より低く、専門知識を高める意欲も少ないとし、フリーターの増加で若年層の職業能力が
低下する懸念も示した。
パート・アルバイトの年収は200万円未満が85%以上で、年齢層が高くなっても賃金は
20代前半からほぼ横ばい。雇用不安や経済的な理由から結婚を遅らせる人も多く、フリーター
の増加で経済の活力低下につながる少子化が加速する可能性がある、とした。
今後の政策対応では、学生や失業者に対する職業訓練の充実や社会人が学びたい時に
自由に入学できる大学など、教育の見直しの必要性を強調。正社員とフリーターの待遇格差の
是正も訴えた。
白書は、15−34歳の「パート・アルバイト、派遣社員や働く意思のある無職の人」を
フリーターに分類した。
産経新聞
http://www.sankei.co.jp/news/030530/0530sei053.htm