スペースアルクより引用
「かわいい」とその語幹に「−らしい」がついた形容詞「かわいらしい」には、以下のような違いがあります。
形容詞には、属性を表す場合と、感情を表す場合とがありますが、「かわいい」はいずれをも表します。
(1) 私は娘がかわいい。(感情形容詞としての「かわいい」)
(2) うちの娘はかわいい。(属性形容詞としての「かわいい」)
(2)の「かわいい」を「かわいらしい」に置き換えることは可能ですが、(1)の「かわいい」を「かわいらしい」に置き換えることはできません。したがって、「かわいらしい」には主語の感情を叙述する働きがないといえます。
(3) その娘はかわいらしく振る舞った。
(4) その娘はかわいく振る舞った。
また、(3)(4)のように行為に伴う一時的な状態を述べる文では、「かわいい」はやや不自然なように感じられます。ここから、「かわいい」という形容詞が属性叙述に用いられるときには事物の本質的な性質(属性)を叙述するものであり、その語幹に「−らしい」がついた形容詞「かわいらしい」は事物の一時的な状態を述べるものであると考えることが可能です。
この違いは、例えば「汚い」「汚らしい」についても、同様に見てとることができます。
(5) 彼は金に汚い。
(6) 使ったものが放置してあって汚い。
(5)のように主語「彼」の属性を述べる場合には「−らしい」のついた形容詞「汚らしい」を用いることができませんが、(6)のように事物の一時的な状態を表す文では、「汚い」を「汚らしい」に置き換えることができます。
http://home.alc.co.jp/db/owa/jpn_npa?stage=2&sn=116