by
高橋 幸二
from
京都市 2004/06/02 03:40:18
NDPは、湾岸戦争のころ与党進歩保守党の人気が急落して、世論調査で1位となり「カナダ初の革新政権」「カナダ初の女性首相」と騒がれましたが、与党が人気のないときに選挙をするはずもなく、93年に女性首相キャンベルが誕生した後の選挙で、与党進歩保守党が惨敗し、NDPは議席を伸ばすはずだったのが、逆に減らしてしまいました。州レベルではBC・オンタリオなどでNDP政権が実現していたのですが、評判が芳しくなく、逆に新鮮さを失ってしまったようです。
91年のBC州総選挙で、汚職にまみれた与党ソーシャル・クレジットがNDPに撃破されるのを、私は目の当たりにしました。こうして誕生したハーコートの政権は、閣僚の汚職を口実とした権力闘争によってクラークに奪われ、このクラークも汚職で去り、次のドサンジは選挙で敗北して権力の座を去りました。
鞍替えの有名な例では、93年選挙で壊滅した連邦進歩保守党の党首シャレーが突然ケベック自由党の党首になるという事件がありました。現在はケベック州首相です。
スポンサーシップ事件で評判を落としているとはいえ、自由党の第一党は揺るがないでしょう。焦点は、過半数取れるかどうかです。 カナダでは伝統的に二大政党制で、80年代からNDPを含めた三大政党制に移行する動きを見せましたが、93年に進歩保守党が壊滅し、自由党が唯一の全国政党となってしまいました。カナダ保守党は西部が地盤で東部とケベックで嫌われ、ケベック連合はケベックだけ、NDPも西部が地盤であり、自由党の天下は当分安泰と思われます。 現在は連邦・オンタリオ・ケベックの3つ全てを自由党が占めており、日本の55年体制にも似た、万年与党と万年野党による擬似二大政党制のようです。自由党政権も10年以上続いていますが、政権交代の緊張感がないと政治は腐敗すると不安を抱くのは私だけなのでしょうか。
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