津波被害の文化財 修復に課題
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無回答 2012/12/05 10:12:50
東日本大震災では、数多くの古文書や絵画などの文化財も津波につかって、かびが生えるなどの被害を受けていて、それをどうやって修復させていくかが、今も課題になっていることが、5日から東京で始まった国際研究集会で報告されました。
この集会は、文化財の微生物による劣化とその対策をテーマに、東京文化財研究所が、5日から3日間の日程で開いたもので、都内の会場には、国内外の研究機関のほか、美術館や博物館などから200人近くが集まりました。
文化庁によりますと、去年の東日本大震災では、国指定の登録文化財だけでも740点余りが壊れるなどしたほか、数多くの古文書や絵画なども津波につかって、かびが生えるなどの被害を受けたということです。
集会では、東京文化財研究所保存修復科学センターの木川りかさんが、津波につかった古文書などは、比較的、早い時期に乾燥させたものを除き、微生物による被害を受け、なかには、焦げたすすのような真っ黒いかびが生えたものもあったと報告しました。
そのうえで、木川さんは、本格的な修復に向けた方法について、▽資料を水で洗浄すると新たにかびが生えるおそれがあることや、▽薬剤を浸透させてかびなどを殺菌する「くん蒸」という方法でも、津波につかった資料の塩分と薬剤が化学反応を起こして、毒性のある物質が残留するおそれがあることなどから、資料を十分に乾かすことが必要だと指摘しました。
また、かびが生えた資料を扱うときは、感染などを避けるため、気密性の高い特殊なマスクを着ける必要もあるということで、津波につかった文化財をどうやって修復させていくか、震災から1年9か月がたとうとする今も課題になっていることが報告されました。
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