亀田総合病院 小野沢です。
先月29日から石巻に入っています。
4月6日、遊楽館という避難所で当直をしていました。ある男性が、苦しそうだと言われ、診察をしました。すでに呼吸停止、共同偏視があり、何か大きなイベントが起きたことは明らかでした。救急車の到着は30分後、彼は泣き崩れる妻の脇で口から血を流しながら息を引き取りました。
湊中学という避難所に行きました。リウマチの女性が手首を腫らし、痛みに耐えていました。受診の手続きを取りましたが、彼女はその避難所から沖縄への移住を希望しました。沖縄は県をあげて受け入れをしていると、あるMLで知ったからです。
沖縄の担当者に連絡をすると、
『罹災証明申請書のコピーが必要です』
『沖縄の受け入れは、災害救助法ではなく県の予算なので、5人まとまったらはじめて飛行機に乗れます。飛行場までは自分できていただく必要があります。そこでチケットをお渡しします。』
『申込書はインターネット上から、書式をダウンロードしていただき、印刷して書きこんでください』と、担当官に告げられました。
非常に困難な条件で、少なくともパソコンとプリンターを持った援助者と、飛行場までの足、罹災証明書の申請を行うために市役所に行くという手順を、その足が腫れた女性が手配しなければ不可能なのです。責任者の方とお話ししましたが、埒があきませんでした。
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こういう言い方をすると大変失礼にあたるかもしれませんが、尋常な状態では、皆さん、ないんです。極端に言うと、地下街の浮浪者にだんだん近づいてきている感じです。避難所は、石巻において、特に湊地区は最もひどくなりつつあります。
ゴーストタウンのような感じです。屋根上に大きな駐車場があるスーパー、エレベータホールに二十人の方が住んでいるままで、仮設トイレを設置はしているんですが。
ところが、ちょっとはなれたところでは被災していないエリアもある、普通にホテルは営業しているんですよ。ちょっと行くと普通なんです。二、三日交代でくる公的な機関の支援者が借り上げていてそういうところに泊まっているんですよ。
なんで被災者が体育館に寝て、公的な人達がホテルに寝るのか理解できません。こういうホテルや遠隔地のホテルを国が借り上げて、被災者を泊まらせたほうが話が早いんです。
僕の見ているところでは、ウンチを紙で丸めて捨てている人がいる、なのに近くの温泉旅館では普通に宴会をしていてるんです。温泉旅館には被災者が行くべきなのに。
日本の社会はなんなんだろうと思いますよ。民主党を応援していたけど、もうこんなことを一ヶ月近くも放置しているのを見ていて、ほんとに耐えられないんですよ。避難所を体育館でもきちんとした設備のある地域まで移動させる、人々を強制的に安全な場所へ移す。「バスで送ってください。もう一ヶ月も経っているんですよ。」と。
産経新聞 ※ 記事の一部抜粋
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/101210/stt1012102354011-n2.htm