http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110328/dst11032821140066-n1.htm
東日本大震災の行方不明者約1万6千人。
その多くが津波で海に流されたとみられている。震災直後から「海猿」で知られる海上保安庁の「特殊救難隊」が捜索しているが、これまでに海から収容された遺体は73体しかない。
土砂で視界50センチの手探りの捜索、海上を埋め尽くす膨大ながれき、遺体が浮かびにくいリアス式海岸。
多くの悪条件が潜水士の前に立ちはだかっている。
海保は震災発生と同時に全国の管区の船艇、航空機を結集。15〜16日には、福島県相馬市の港で座礁中の船からそれぞれ船員23人を救助するなど、救助活動に集中してきた。
約2週間で救助したのは、一つの管区の年間救助者数に匹敵する324人。海保幹部は「できることを最大限やっているが、被害の母数から見ると極端に少ないかもしれない」と話す。
海での捜索を困難にしているのは、潜水士にとって最悪ともいえる海中の状況だ。
一條正浩・海上保安報道官は「津波で流出した土砂で海水が濁り、視界50センチでの捜索活動になっている。一つ一つ手で触れて確認するしかない」と説明する。
ゼロに近い視界に加え、港湾内には押し流された大量のがれきがびっしりと海面を埋め尽くしている。
ダイバーの民間団体が捜索の協力を申し出たが、あまりの危険性の高さに海保は断った。