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平均年齢62歳という4人組の高齢窃盗団の犯行が、韓日の外交関係に微妙な波紋を生じ
させている。4人が日本の対馬で盗んだ国宝級の仏像が、かつて韓国から略奪されたものの
可能性があるとの主張が出ているからだ。仏像は回収されたが、日本には返還されていない。
韓国の裁判所は「仏像が日本に渡った経緯が明らかになるまで、日本には返還しない」という
仮処分の申し立てを受け入れた。すると日本側は政府高官が、韓国政府に対し速やかな返還
を求めた。
問題の仏像は、統一新羅時代の銅造如来立像と高麗時代の金銅観音菩薩座像。このうち
国宝級の銅造如来立像は、既に1974年に日本で1億円の評価額が付いている。
問題が起こると、インターネット上には「愛国者論」が登場した。「略奪品を見つけ出した、気概
ある泥棒たち」というわけだ。「正当なやり方ではないが、犯罪には当たらない」という主張も見られた。
摘発された泥棒たちも、予想外の反応を見せているようだ。警察によると「日本が奪ったものを探し
出したのに、何か間違っているのか」「韓国の文化財がきちんと保存されることを望む」と主張して
いるという。4人の泥棒のうち3人は「無念さを韓国国民に直接訴えたい」として国民参与裁判を
要求した。
4人は愛国者なのか。それとも、単なるいやしい泥棒なのか。検察の起訴記録や過去の裁判記録、
証言から「泥棒たちの真の姿」を追った。
■シェパードを毒殺して文化財を盗んだことも
今回の仏像窃盗に関与したとして摘発されたのは、合わせて9人。対馬に渡って仏像を盗んだ
実行犯は4人だ。4人の年齢はそれぞれ70歳、66歳、60歳、50歳で、最高齢2人は大邱出身の
兄弟。年を重ねているだけあって経歴も派手で、4人の前科を全て合わせると56犯に達した。
いずれも韓国国内での犯行だ。
警察が主犯とみている人物は、窃盗団の中で最高齢のキム容疑者(70)だ。古物商や喫茶店など
を営んでいたが盗みに手を染め、「星」の数は13個に達する。常習犯に下される青松刑務所での
保護監護処分(刑期満了後さらに収容されて職業訓練などを受ける制度、現在は廃止)も2回
受けている。それでも、犯行をやめることはなかった。
これまでの判決記録を見ると、キム容疑者は2002年1月から2月にかけて、済州で共犯2人と共に
盗みを働いた。キム容疑者のグループは車で移動し、無人のスーパーマーケットやディスカウントスーパー
など7カ所に切断機を使って押し入り、外国製のたばこを盗んだ。青松刑務所で保護監護を終えて
出所してから、わずか1週間後の犯行だった。2度目の青松刑務所暮らしを終えて出所してから
1年後の05年8月には、白昼に慶尚北道浦項市で発電機店を荒らした。キム容疑者の手口は、
主に夜間にグループで空き家や店舗を荒らす「特殊窃盗」だった。
グループでの犯行を得意とする兄に対し、実弟のキム容疑者(66)の「特技」は文化財荒らし。
弟のキム容疑者は1999年、原州のある博物館で展示されていた硯滴(けんてき=すずりの水差し)
を、偽物にすり替えるという手法で盗んだ。2000年には忠清南道一帯を回り、名門の家のやしろに
祭られていた肖像画類を盗んで捕まった。キム容疑者が盗んだ肖像画の中には、朝鮮王朝の
世宗代に工曹判書(公共事業などを行う行政機関の長官)を務めた崔竜蘇(チェ・ヨンソ)の
肖像画もあった。05年には慶尚南道居昌で、2億6000万ウォン(現在のレートで約2200万円、
以下同じ)相当の文化財を盗んだ。その中には、1巻7000万ウォン(約600万円)に上る古文書も
あった。
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