長崎県対馬市の寺社から盗まれ韓国に持ち込まれた仏像2体のうち、観音寺が所蔵していた長崎県指定有形文化財の観世音菩薩坐像について、韓国政府が返還に関する判断を示してはならないとの韓国裁判所の決定が出された。
大田地裁は26日、韓国最大の仏教宗派、大韓仏教曹渓宗の浮石寺が請求した韓国政府に対する有体動産の占有移転禁止の仮処分について、原告の請求を認めた。同地裁は、観音寺は正当な手段で同仏像を取得したことを裁判で確定する必要があると指摘。確定するまで、同仏像を保管している韓国政府は占有をやめ、浮石寺が委任する執行官に引き渡さなければならないとした。
この決定により韓国政府は仏像を日本に返還するかどうかの判断を示せなくなる。ただ、裁判所関係者は「仮処分なだけに絶対に返還してはならないという状況ではない。国際法上でもこの決定が適用されるか検討が必要だ」と述べた。
観世音菩薩坐像については忠清南道・瑞山市の浮石寺で製作された事実が明らかになり、市民団体を中心に日本返還に反対する声が上がっていた。裁判所の決定に対し浮石寺は「仏像の流出経路について調査委員会を発足することを政府に強く要請する」とコメントした。
観世音菩薩坐像は現在、大田市内の国立文化財研究所に保管されている。
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