中国各地で「終末論」　青海省では４００人以上拘束
2012年12月19日 朝刊

　【北京＝新貝憲弘】中国内で今月二十一日に「世界が終末を迎える」とのデマが広がっている。共産党支配に挑戦するキリスト教系の「全能神」という宗教組織が終末論を流布させ、傷害事件も発生。新華社電などによると、中国政府は「邪教」に認定し、社会秩序を混乱させた疑いで、十八日までに中国西部・青海省だけで四百人以上を拘束した。

　河南省光山県の小学校では十四日、終末論の影響を受けたとみられる男（３６）が、刃物で児童らを切りつけて二十四人が負傷。四川省や青海省では終末論を主張するビラを配布した“信者”ら多数が拘束された。

　終末論は、二十一日に世界が区切りを迎えるとした古代マヤ文明（中米一帯）の「予言」が根拠。全能神は一九九〇年代に河南省で組織され、陝西省や新疆ウイグル自治区、甘粛省など主に中国西北部で流布している。

　教義は「東方の女性の姿で中国に降臨した」という全能神が、共産党を暗示する「巨大な赤い竜」を滅ぼし、全能神が統治する国家を樹立させると主張。この組織は「実際神」「東方閃電」とも呼ばれる。