◆2012年度政府予算における中国に対する政府開発援助(ODA)供与額は、
42億5千万円(前年度の46億円から『わずか』7.6%減)である。
外務省によると、
日本は、1979年の大平正芳首相(当時)訪中の際、
「中国の近代化努力に対して我が国として出来る限りの協力をする」と表明して以来、
「中国が安定して発展し、また、日中間に友好な二国間関係が存在することは、
我が国のみならずアジア太平洋地域の平和と繁栄にとり極めて重要」との考えの下、
ODA大綱を踏まえ、中国の援助需要、経済社会状況、
日中二国間関係を総合的に判断の上、対中経済協力を実施してきている。
1979年に始まった対中ODAは累計で3兆6千億円を超える。
9割以上を占める円借款(有償資金協力)は2007年度に終了している。
だが、自民党内から「中国が日本からのODAを使って、アフリカ諸国に援助したり、
軍備増強を続けているのは、おかしい」という批判の声が高まり、
「対中ODA打ち切り」を打ち出したことに対して、
中国が「首相の靖国神社公式参拝問題」を持ち出して反発した。
このため、やむを得ず、
2008年度以降も、環境保全や人材育成を中心とする無償援助と技術協力を継続、
2008年度の実績は53億円で、日本は相変わらず、世界最大の中国支援国となっていた。
丹羽宇一郎大使(当時)は2011年6月24日に新疆ウイグル自治区を訪れた際、
「対中ODAの継続が極めて重要」であることを改めて強調していた。
◆中国はこのごろ、「GDP世界第2位の大国」と誇示したり、「まだ発展途上国」と
言い訳してみたり、都合よく、言葉を使い分けてきた。
だが、GDP世界第3位の日本が、
GDP世界第2位の中国を、ODAにより支援し続けるというのは、実に変である。
「まだ発展途上国」とう言い訳は、もはや通用しない。
中国が「GDP世界第2位の大国」になったときのニュースを改めて、読み直してみよう。
この奇妙さに気づくはずである。
ロイターが2012年 2月 13日午後2時49分、
「日本の11年名目GDP、世界第2位の中国と格差拡大」という見出しをつけて、
以下のように配信している。
「[東京 13日 ロイター]内閣府によると、日本の2011年の名目国内
総生産(GDP)は米ドル換算で5兆8723億ドルと、中国11 件の
同7兆2960億ドルを再び下回った。
日中のGDPは10年に日本が5兆5035億ドル、
中国11 件が5兆9310億ドルと、初めて中国が日本を逆転。
日本は世界第3位となったが、
1年で格差はさらに広がったこととなる。
古川元久経済財政担当相は会見で、
中国11 件との格差拡大について『大事なことは、足元の(日本の)GDPを
どう上げていくか』だとしながらも『(日本が)デフレから脱却し、名目ベースで
(GDPを)上げていくことに全力を尽くすのが第一義的に必要』と話した。
日本の名目GDPは60年代後半、当時の西ドイツを抜き世界第2位となった。
(ロイターニュース 基太村真司)」
◆胡錦濤政権は、中国が「GDP世界第2位の大国」であることを鼻にかけて、
日本対して、尖閣諸島国有化反対で一切譲歩せず、
対抗措置を矢継ぎ早に繰り出して圧力を強めていく構えを取り、これに呼応するかのように、
9月17日付けの共産党機関紙「人民日報」(海外版)が1面で、日本の国有化を撤回させるため、
あらゆる経済制裁を検討すべきだとの専門家の提言を掲載し、
「中国は、いつ日本に対して経済(制裁)の引き金を引くのか」の見出しで、
制裁の対象として「日本の製造、金融業、特定の対中輸出産品、投資企業、
輸入戦略物質」を列挙。
日本の中国への経済依存度が高まっていることを踏まえ、
「失われた10年どころか、20年後退する準備ができているのか」と警告するなど、
強気の姿勢を示している。
ここまで、強気でいられるということは、とりもなおさず、もはや日本からのODAは、
不要であることを意味している。中国側から、そう言ってくれるのであれば、
日本外務省は、2013年度政府予算から有難く、対中ODAを廃止させてもらえばよい。
http://blogos.com/article/47039/
恩を仇で返す国。