http://wwwz.fujitv.co.jp/ainori/index.html
今週のあいのり
(前略)
翌日。
ゾマホン「えー大事な所を紹介いたします アフリカという大陸をよく知るためにアフリカの人々をよく知るために必ずその街へ行かないといけない!」
ゾマホンの案内で走る事1時間。
到着したのはウィダという町。
ゾマホンはここにどうしてもメンバーを連れてきたかった。
ラブワゴンは、とある広場の前で停車。
ゾマホン「ここはね『奴隷政策』と関係がある所です 奴隷政策 あのーバスケットボールで有名な例えばジョーダンとかね あるいは今のブッシュ政権のライスあの女性のね あのアフリカ系アメリカ人の先祖がもともとアフリカからアメリカに連れて行かれたわけ その大事なことを世界の人々がみんなわからないとダメです」
我々が良く知るアメリカの黒人たちは『アフリカ系アメリカ人』と呼ばれている。
彼らの先祖をアメリカ大陸に上陸させたのは奴隷貿易だった。
ヨーロッパの国々は奴隷貿易を『三角貿易』と名付けおよそ400年の間、国家的事業として行なっていた。
まず船はヨーロッパでは売れないような安物の綿製品やアクセサリーなどを積んで出港。アフリカを目指す。
アフリカに到着すると運んできた安物の商品と黒人奴隷を交換。
船いっぱいに奴隷たちを乗せ、大西洋を横断する。
そして、中南米やアメリカで運んできた奴隷たちと高価な砂糖やタバコなどを交換。ヨーロッパに戻ったのだ。
三つの大陸を股にかけた三角貿易。
ヨーロッパの資本家たちは、そこから莫大な利益を得たという。
ゾマホン「ここは奴隷商人の末裔の豪邸です 奴隷を売買する人」
かつてここにはアフリカで最も大きな奴隷市場があった。
内陸から奴隷狩りなどによって連れてこられた黒人は牛や馬のように焼印を押され商品として競りにかけられた。
この広場で売買された黒人の数はなんと500万人にものぼる。
ゾマホン「で どういうものであるかというと人間がね非人間扱いをされるわけ (奴隷として)この人はどうですか?ちょっと見て!頭どう?元気でしょ あの あの あのぅ 労働力あるでしょ?足もでかいし」
クロ「ふふふふ 痛い」
ゾマホン「笑ったらダメよ!笑ったら本当とうとうあの 大事なことですよ!真面目にね」
奴隷として買い取られた黒人たちは裸にされ、一本の大きな木のまわりに集められた。
ゾマホン「この木を3回ぐらい 回らされたんですよ なぜそんな事をさせたかというと欧米まで行っても死んだ人の魂は必ずアフリカに戻る だから『帰還の木』」
『帰還の木を3度回れば肉体は死んでも 魂だけはアフリカに帰ってこられる』奴隷商人は黒人たちにそう信じ込ませた。
わずかな希望でより従順にさせる為に。
そして黒人奴隷達は、首と首を木材で結ばれ海岸までただひたすら歩かされた。
灼熱の砂の上を絶望へ向け、一歩一歩進む奴隷たち。
競売場から海岸までの道はいつしか奴隷街道と呼ばれるようになった。
ゾマホン「あの〜10km以上ですよ 奴隷達を歩かせるのは10km以上 疲れると思わない?」
クロ「疲れる あの変な態勢で」
奴隷街道を進み海岸へ着くと、あるモニュメントが見えてくる。
帰らずの門。
そこに刻まれているのは次々と運ばれていく奴隷たち。
そして沖で待つ奴隷船。
彼らは鎖でつながれ船底に折り重なるように押し込まれた。
排便も垂れ流しの状態で、奴隷たちのおよそ3割が熱病などで航海中に死んでいったという。
何とか生き残りアメリカ大陸などに到着した奴隷達も逃げ出せば『鞭打ち』や『手足の切断』など厳しい罰を受けた。
集まって反乱などを起こす事が無いように親子や兄弟、同じ民族はわざとバラバラにされた。
民族が違えば言葉も異なる為、奴隷同士は話す事も出来ず、英語を学ぶ事も禁じられた。
こうして言葉も文化もルーツも全て奪われてしまった黒人たち。
いつの日か自分が奴隷であることに疑問すら抱かなくなった。
そして彼らは二度とアフリカの大地を踏む事はなかった。
アフリカの悲しみがつまったこの海岸。
ゾマホンはメンバーに知ってほしかったのだ。
ゾマホン「実際はね本当に私は毎回 毎回 ここに来たら涙が出るんですよ あんなに残酷なことを2度と世界のどこかで起きないように 目を開いて世界のことをよく知らないと なぜ!アフリカという大陸はね(発展が)遅れてきたか なぜ!その原因を知らないといけないあなた方 先進国の人が」
アフリカから連れていかれた奴隷の多くが働き盛りの若い男性だった。
その事から、奴隷貿易がアフリカの飢餓や貧困の原因のひとつだとも言われている。
ゾマホン「アフリカの歴史はね 今まで誰が書いたかというと欧米人が書いてきた歴史です 問題なのは欧米人が書いたアフリカの歴史はね 自分の利益と自分の都合に基づいて書いた歴史なわけです なぜかというと自分達が歴史的に残酷なことをやってたということを知らせないように変えてるわけです だから『貿易』とかいう言葉使った あなた方日本の人も必ず欧米人が書いたアフリカの歴史をそのまま信じては絶対いけません 誰が誰を奴隷にさせたか誰が それを考えないといけないです」
白人に支配された黒人の歴史。
奴隷海岸はそんな残酷な歴史を見つめてきた。
アフリカの悲しみ、そして怒り。
奴隷海岸の波音がメンバーの心に響いていた・・・