第1話、渡航
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もうとっくの昔に嫌になってた。
彼の匂いとか彼の声。
顔を見ればむかついた。
調子の良すぎる声に、屈託のない笑顔。
それで私は騙され続けた。
親のコネで商社に入社した。
親もきっと結婚のこととか考えて
商社にこねを作って私を入れたんだろうけど、
最初にできた男は隣の部署の10個も年上の妻もち子持ちだった。
仕事もできて、かっこいいから
付き合い始めたけど、商社のくせに自由なお金が無かった彼。
ラブホのお金はいつも私持ち。
晩御飯はいつも会社の領収書を切る。
週末は一人で過ごすこと10年が過ぎた。
新入社員から10年間も彼に尽くした結果、
30歳になった私に
「事業始めたいからお金貸してくれない?
いくら持ってる?」
「お金貸すから私の青春返して!」
って最後に言ってやった。
それでもあの男はしつこく食い下がり
私は100万貸してやった、きっと返ってこないと
分かっていたのに。
こんな男との腐れ縁を切るため、
カナダに英語勉強目的で来た私。
というのは口実で、
30歳にもなって、不倫している私を負け犬呼ばわりした人
たちに、
そうあの男に、会社の同僚に、私の親友まで私を馬鹿にしてた
そんなやつらに、白人の彼氏を作って見返すためにやってきた。
イエローキャブといわれようが頑張ろうと決心して
海を越えてきた。
もう後が無かった。