TBS「NEWS23」の反日プロパガンダ
西村幸祐(評論家・ジャーナリスト)
戦後六十九年目を迎えた平成二十六年の夏も終わる。戦後、戦後と言っているうちに、「戦後百年」などと言い出しかねないのが現今の日本人だろう。普通、どこの国でも戦争が終わって「戦後○年」という言い方をする場合、せいぜい「戦後十年」だ。いつまでたっても戦後特集を組むメディアにその自覚がないのは奇妙である。
私たちは、まるで終わらない戦後のなかに永久に置かれているかのようだ。それは何ひとつ、日本が〈戦後問題〉を解決していないからだ。
一方、戦争体験者が激減してくるので、最近の戦争特集は送り手の恣意的な脚本に沿った悲惨さだけが強調された戦争体験のオンパレードになる。慰安婦問題と同じように、事実を知らない人間が意図的に加工された体験を流布するのである。
その結果、かつて通用しなかったもまかり通ることになる。
八月十四日のTBS「NEWS23」に驚かされたのは、《94歳元日本兵の証言「人間でないことをした」》という特集だった。
登場した近藤一氏(九十四歳)が、おどろおどろしいBGMが流れるなかで「私は初年兵ですから、古い二年兵、三年兵、四年兵がいる。古い兵隊は女がいると捕まえていろんないたずらをする」「教育下士官が突け! という声を出しますと、三八式歩兵銃に銃剣をつけているのでタターっと走って、くくられている中国の男性の心臓を突き刺す」と支那戦線での〈強姦〉や〈残虐行為〉を告白し、挙げ句の果ては「六十年七十年経って、またぞろ戦争をするような国に引っ張って行かれる」と現在の政治批判までやってのけたのである。
この手のプロパガンダ番組にいつも駆り出されるのは中国帰還者連絡会(中帰連)の兵士であり、近藤一氏もご多分に漏れずそうである。世代的に中帰連を知らない日本人がほとんどになったので、この十年でテレビ朝日やTBSは公然と登場させている。
中帰連は中国共産党の「撫順戦犯管理所」と呼ばれる捕虜収容所からの帰還兵であり、そこは凄惨な洗脳工作が行われたことで知られている。撫順戦犯管理所で中国共産党が行ったのは、常軌を逸した戦争犯罪で人権侵害だった。学習・認罪・自己批判を繰り返させる徹底した洗脳工作は自殺者が出るほどで、当時、米国OSS(のちのCIA)も見学していた。
撫順で洗脳工作が完了した日本兵だけが生かされ、日本国内での共産革命の先兵として中国共産党が帰国させた。
すでに文化大革命の素地が撫順であったと言っていい。日本人の矜持を破壊された中帰連元兵士は、ある意味、戦争被害者でもある。TBSはそれを晒し者にして反日プロパガンダを行った。
日本人蔑視の差別語は放送する
八月十五日の終戦の日、靖国神社は若い世代が目立ち、静かな雰囲気のなかで粛々と参拝が行われた。猛暑だったが、今年も参拝者は十七万人を記録した。ところが、そのような視点で終戦の日を迎える靖国を報道するメディアは産経のみである。
ほとんどが、閣僚は誰が来たのか、政治家は誰が参拝したなどという無意味な話題に終始する。
日本武道館では全国戦没者追悼式典が行われるが、これも驚いたことに、夕方以降のNHKのニュースで、天皇皇后両陛下がご臨席されたという言葉がニュース原稿のどこにもない。映像には天皇陛下も映し出されるが、ニュース原稿から省くのは異常である。
実は、あるTVプロデューサーから聞いたのだが、最近は玉音放送をTVで使用しようとしても、局の縛りがあってなかなか使えないということだ。特番で玉音放送の内容をきちんと解説するものは皆無であり、何のために戦争を行ったのか、どのような敗戦を迎えたのかということも、戦争を知らない世代が大半になった国民は解らないまま、悲惨さと残虐さを誇張するコンテンツばかり浴びせられるのである。これでは〈戦後〉は終わらない。
八月十六日にはTBSの「情報7days」で、韓国人作家が日韓友好をテーマに話をした。ところが、彼の言葉のなかに「チョッパリ(豚の足)」という言葉が頻発する。韓国人にとって、日本人は足が豚の蹄のようになる下駄を履くということから生まれた日本人蔑視の差別語である。ところが、字幕は「日本人」になっている。日本人の外国人に対するヘイトスピーチという話題が頻繁に取り上げられるなかで、日本人へのヘイト(憎悪)の典型をTBSは隠したのである。
Yahoo!ニュース WiLL 9月4日(木)12時11分
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140904-00010000-will-pol
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140904-00010000-will-pol&p=2