こんなことって、カナダでもあるんでしょうか?
なんだかこれじゃ、少子化に歯止めをかけるどころか、拍車をかけているようですよね。
子ども達は、将来、自分達の国の将来を担ってくれる大切な存在とかって思わないんでしょうかね?
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待機児童問題の解消が叫ばれるなか、住民の理解を得られずに、保育所の建設が難航するケースが相次いでいる。どうすれば子どもの居場所を確保できるのか。
さいたま市内で昨夏、ある保育所の建設計画が撤回された。来春、児童90人を受け入れる計画だったが、住民の反対を受けて事業者が断念した。
「静かな老後を過ごしたいと思って家を建てたのに」「送迎の車で住民が事故にあったらどうするのか」。昨夏の住民説明会では、こんな声が相次いだと事業者は言う。「保育所は迷惑施設としか思われていないのではないか」
住民側にも言い分がある。建設予定地周辺の道路は、乗用車同士がすれ違うのがやっと。歩道と車道の区別はない。住民の一人は「朝夕の通勤・通学時間帯は駅への行き来で人通りが多い。送迎の車で混雑すれば、事故の危険性が高まる」と話す。
事業者は、駐車場を借りて路上駐車や渋滞を防ぐなどの案を示したが、折り合えなかったという。
さいたま市内では、2011年春の保育所開設を目指した計画も白紙に。断念した社会福祉法人理事長は「住民の反対や地主の貸し渋りであきらめた計画は、他市も含め10以上ある」。
福岡市でも、今春開園予定だった認可保育所の建設が中止に。市によると、送迎車の交通整理や目隠し設置などの案を事業者が示したが、住民側と折り合えなかった。
■騒音対策「当たり前」 1000万円の防音壁・遊ぶ時間制限
全国の待機児童は、13年4月現在で約2万3千人。国は保育の受け皿を17年度末までに40万人分増やす方針を掲げる。だが周辺住民の理解を得られず、保育所の開設が難航する例が相次ぐ。
自治体担当者らからは「近所で子どもの声がしなくなったせいで、余計にうるさく感じられるのでは」「住宅密集地にも建てざるを得ず、住民の困惑も仕方ないのだが……」との声が漏れる。
東京都内のある自治体は「二重窓ガラスや防音壁設置など『騒音』対策はもはや当たり前」。来年度開設予定のある保育園では、給食のにおいが広がらないよう調理室の排気口を真上に向ける。別の自治体には「園舎の壁の色が明るすぎ、反射してまぶしい」との苦情が寄せられている。
「古い新しいに関わらず、住宅地にある保育園は、ほとんどが何らかの対策を講じている」と話すのは、福岡市の担当者だ。市内の保育所は住民の苦情を受け、住宅に近い部屋で児童を遊ばせない▽楽器の練習時間を制限▽隣家との境に目隠しのため植樹をする、などの対策を迫られた。
訴訟に発展したケースもある。東京都練馬区内の認可保育所をめぐって12年夏、住民が園を運営する日本保育サービスなどを相手取り、東京地裁に提訴した。「平穏に生活する権利を侵害された」として騒音差し止めや慰謝料を求めている。
同社の山口洋代表(53)は周辺には配慮していると説明する。「高さ約3メートルの透明な防音壁を1千万円かけて設置したほか、園庭で遊ぶ時間を午前9時45分から11時半に制限。それ以外は公園などで遊んでいる」
プールで歓声を上げないよう、保育士は子どもに極力水をかけないようにしているという。「本当は自由に遊ばせてあげたい」
■地域に溶け込む努力 周囲を雪かき・集う場提供
丁寧な対応を重ねて、地域に溶け込んだ保育所もある。
東京都町田市の認可保育所「ききょう保育園」は、園舎を現在の場所に移転した96年、住民の反対にあった。当時園長だった山田静子さん(78)によると、園側は、子どもの声を聞こえにくくするために園庭を最大2・6メートル掘り下げる、住宅に面した園児用の部屋には窓をつけないなどの配慮をした。
開園後も子どもの声や保護者の交通マナーへの苦情は続いたが、「職員が周辺の雪かきをするなど、地域に溶け込む努力をした」。餅つき大会の会場を探す町内会に園庭の利用を申し出たほか、住民を招いた夏祭りや高齢者と園児の食事会も開いた。
保護者にも協力を求めた。送迎時のルートを制限し、細かい交通ルールを設けた。移転から5年ほどたった頃、住民は保育園前の通りに「ききょう通り」の愛称をつけた。
町内会の元役員(74)は「最近は保育園への批判を聞かなくなった」。町内には住民が集える広場がなく、保育園での餅つき大会が交流の場という。「保育園と地域は、今や切っても切れない関係」
山田さんは12年春、世田谷区に「東北沢ききょう保育園」を開いた。経験を生かし、住民には菓子折りを持って事前にあいさつ。説明会でも丁寧に質問に答え、開園にこぎつけたという。
(伊藤舞虹、田中陽子)
■「お互いさまの意識必要」
横浜市副市長在任中に保育所116カ所を整備した前田正子・甲南大教授(社会保障論)の話 子どもの数が減り、地域から声や音が消えた。保育所の子どもの声がなおさら目立ち、異質のものと受け止められている。
住宅密集地などに保育所をつくる場合、近隣住民への丁寧な説明や、騒音、安全面での対策は大前提。路上駐車や話し声に気をつけるなど、保護者もマナーを守らないといけない。
必要なのは、お互いさまの意識。保育所建設に反対が起きた地域で、古くから住む住民が「あなたたちのマンションができる時、私は反対しなかった」と言って収めた例もあった。譲れる時は互いに譲る。そういう地域は誰にとっても住みやすいはずだ。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11169628.html?_requesturl=articles%2FDA3S11169628.htmlamp;iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11169628