■河野談話検証結果の要旨
政府が公表した河野洋平官房長官談話の検証結果に関する報告書の要旨は次の通り。
【河野談話発表前の日韓間の協議】
1993年4月下旬の日韓事務方の協議で、韓国側は「一部に強制性があった」との限定的表現が
使われれば大騒ぎになるとの認識を示したが、日本側は歴史的事実を曲げた結論を出すことは
できないと応答。報告を受けた石原信雄官房副長官は「慰安婦全体に『強制性』があったとは絶対
に言えない」と発言した。同年6月、武藤嘉文外相は訪韓し、「具体的にどういう表現にするか、
韓国政府の協力を得たい」と述べた。
【元慰安婦からの聞き取りの経緯】
92年7〜12月にかけて、韓国側から被害者および加害者の事情聴取を行うよう要請。93年3月、
日本側より「元慰安婦代表との面会を実施する用意がある」と打診した。聞き取り調査に当たっては、
ビデオ撮影を行うが、公表や法廷での使用はしないことで一致した。調査は同年7月26〜30日に
かけて実施され、計16名の聞き取りが行われた。同結果について、事後の裏付け調査や他の証言
との比較は行われなかった。調査終了前に既に談話の原案が作成されていた。
【河野談話文言をめぐる協議】
武藤外相は同年7月28日の日韓外相会談で、「文言は韓国政府に事前に相談したい」「この問題は
(談話をもって)外交的に区切りを付けたい」と述べた。韓国側は「日本の努力と誠意を評価したい。
韓日関係が未来志向的に持っていけることを期待している」と述べた。
談話の文言調整は発表前日まで行われた。7月の韓国側の最初のコメントでは「問題を解決させる
ためには韓国国民から評価を受け得るものでなければならない。一部修正を希望する」と述べた。
日本側は「事実関係をゆがめることのない範囲で、韓国政府の意向・要望は受け入れられるものは
受け入れ、受け入れられないものは拒否する」と応じた。
慰安所の設置と慰安婦募集の際の軍の関与について、韓国側は軍の「指示」や「指図」があったとの
表現を求めたが、日本側は「慰安所の設置について軍の指示は確認できない」「募集は軍ではなく、
軍の意向を受けた業者が行った」として拒否。慰安所は軍当局の「要請」で設営され、募集は軍の
「要請」を受けた業者が当たったとの表現で決着をみた。
韓国側の要望で、日本側が示したおわびの原案に「反省の気持ち」を追加した。この交渉過程で
宮沢喜一首相と金泳三韓国大統領に了解を取った。
慰安婦募集の「強制性」について、韓国側は日本側原案の「(業者の)甘言、強圧による等本人の
意思に反して集められた事例が数多くあり」から「事例が数多くあり」の削除を要請。日本側は「全て
が意思に反していた事例と認定することは困難」として、「総じて本人たちの意思に反して」との文言
で調整した。
日本側から、日韓間の事前の文言調整について「マスコミに一切出さないようにすべきだろう」と提案、
韓国側は了解した。
河野官房長官は談話発表時の記者会見で、強制連行があったとの認識かと問われ、「そういう事実
があった」と発言。韓国政府は、談話について「日本政府が軍隊慰安婦の募集等において全体的な
強制性を認定し、謝罪と反省の意を表明した点」を評価すると発表した。
【元慰安婦への措置】
日韓両国間で「慰安婦の問題を含め、財産請求権の問題は完全かつ最終的に解決済み」と確認。
韓国側は「韓国政府は日本政府に対し物質的な保障を求めない」との姿勢を示した。
ソース 時事通信(2014/06/20-21:15)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014062000946