北朝鮮のミサイル問題に対する韓国政府の態度がおかしい。ミサイル大量発射で国際社会を威嚇している北朝鮮ではなく、その北朝鮮を厳しく批判し、隣接国として対応策に頭を悩ませている日本を非難しているのだ。
韓国の大統領府は先に、北朝鮮のミサイル発射は「訓練」であり「政治的事件に過ぎず安保次元のものではない」として静かな対応を主張し、「日本のように騒ぐ理由はない」と批判した。11日には日本で、北朝鮮のミサイル脅威に対し「敵基地攻撃能力の保有」が議論になっていることをとらえ「日本の侵略主義的傾向が出た」と日本批判を強めている。
韓国は北朝鮮ではなく逆に日本の動きを「深刻で重大」という。しかし現在、国際社会で深刻かつ重大な問題になっているのは、軍事独裁体制下での核開発やミサイル開発、偽ドル、麻薬密売、そして国民に対し極度の自由の抑圧をしている北朝鮮だ。その北朝鮮によって軍事的脅威にさらされている日本ではない。それが国際常識だ。
その常識にはずれた韓国政府の場違いな日本非難は、北朝鮮の立場を有利にするだけである。あえていえば、韓国政府はそのあまりに融和的な対北姿勢に批判を強めている国内世論を、またまた“反日”でそらそうとしているとしか思えない。繰り返し確認するが、問題を起こしているのは北朝鮮であって日本ではない。そのため日本や韓国を含む国際社会は、協力して北朝鮮の態度を変えさせようと努力を続けているのではなかったか。
したがって韓国政府の日本非難は、国際社会における“分裂行動”といわれても仕方ない。大統領府の発表は「(日本には)強力に対応する」としているが、韓国が強力に対応すべきは日本に対してではなく北朝鮮に対してだろう。それが北朝鮮と同族である韓国の国際社会に対する責任であり義務というものだ。
そもそも国際社会を騒がせている核問題といいミサイル問題といい、北朝鮮をここまでやり放題にさせてきたのには韓国の責任が大きい。その責任を棚上げにして日本非難とは理解に苦しむ。自由民主主義世界の友邦として早く常識に立ち返り、国際社会の期待に応えてほしい。
http://www.sankei.co.jp/news/editoria.htm