http://sankei.jp.msn.com/smp/wired/news/121207/wir12120714000001-s.htm
世界135カ国の806,526人から得られた回答から、幸福度は「収入の増加」だけでなく「高望みをしない」ことが重要だとわかった。
「Journal of Personality and Social Psychology」に掲載された新しい研究(PDF)によると、お金は幸福につながるようだ。
しかし重要なのは、宝くじやストックオプションで巨額を突然得ることではなく、収入が安定して増えることのようだ。
今回の研究は、2005〜2011年の「ギャラップ世界世論調査」で、世界135カ国の806,526人から得られた回答を基にしたものだ。
同調査では、回答者に生活満足度を0〜10の11段階で評価させ(0は考えられる限り最低、10は最高)、さらには年収の額と、寝食はまかなえているか、TVやインターネット接続を所有しているか等を質問した。
国内総生産(GDP)の上昇は、必ずしも国民の幸福度の上昇に比例しないとする「イースタリンの逆説」という概念がある。
研究チームはこれを説明する試みの中で、経済全体の向上や悪化の程度は人間の幸福度にそれほど影響しないが、個人にとっての安定収入の額が上がると幸福度は高まることを発見した。
「富の増加に伴って、テレビやインターネット接続といった物質的なものの購入を増やすことが可能であった場合、富の増加は何よりも幸福度の上昇に関連していた」と、研究を手がけたイリノイ大学のエド・ディーナー教授は述べる。
しかし、収入の増加は幸福度を上昇させるといっても、これには「その人が楽観的で、しかもあまり高望みをしすぎないという条件がある」とディーナー教授は述べる。
つまり、高価でクールなスポーツカーや「トライベッカ」(スバルが日本以外で販売しているクロスオーバーSUV)が欲しいと思っていると幸せにはなりにくいが、身の程に合ったものを買うために貯金をしていれば幸せな気持ちになれるということだ。
宝くじが当たった人が幸せになるとは限らないという研究はすでにあるが、今回の研究はそれがなぜかということも説明してくれそうだ。
プライベートアイランドや山ほどの靴を持っている世界の大富豪は、さぞかし幸福度も高いだろうとわれわれは思いがちだが、
人間の幸福度を決めるカギは、何を持っているかというよりは、「自分が欲しいものを買う能力」が自分にあるかどうか、ということのようなのだ。
今回の研究で収入が幸福をもたらすかどうか解明したいと考えたのは、人が収入を得るのに多くの苦しい時間を費やしているからだとディーナー教授は述べた。
「人は他のどんな活動よりも多くの時間を労働に費やしており、政府も経済成長を重視している」と同氏は述べている。
賃金の低い、単純な仕事に従事している人も、今日のみじめな思いが明日の幸福につながることを忘れてはいけない。
次の仕事をこなせば、Wi-Fi対応でHDMIポートのたくさんついた大型テレビが買える、と考えるようにしよう。
※1,000人の米国人を対象にしてギャラップ社が行った45万件にのぼる調査データを、「人生の評価」と「主観的な幸福感」について分析した論文によると、前者は年収と比例するが、後者については75,000ドルを超えると比例しなくなるという。
「低い収入は、低い人生評価と低い幸福感につながる。高い収入は、高い人生評価につながるが、幸福感につながるとは限らない」とされる。