ありがとう、とケチるというのは、言いえて妙だと思う。
でもこれは「ありがとう」を言わないのではなくて、英語で thank you と言う場面で、言わないことが多いということ。
逆に、英語では thank you 以外の言葉で感謝を述べることが多い場面で、thank you を連発するので、不思議な感じがする。
これは、英語の thank you が、日本語の「ありがとう」と同等の場面で使われていないから、日本語でありがとう、という場面で、そのまま thank you にすりかえて使うと、こちらでは、thank you をけちっているように聞こえたり、妙に thank you を連発してるように聞こえたりする。
私の感覚では、英語の thank you は「ありがとう」よりも軽い感じがする。日本語の「ありがとう」という単語の重みは、thank you より重くて、強いて言えば thank you very much, I really preciate it. と同等かな?そして英語の thank you は、日本語の「どうも」程度の軽さだと思う。
つまり、日本語の「ありがとう」は、レジでお釣りの受け渡しをしたり、通路で避けてくれた時には、あまり言わないでしょ?だって少し大げさだから。そういうときは「どうも」とか、視線とか、微笑んだりで終わらせるのが自然。だから、英語圏にきても、こういう場面で thank you って言わない人が多い。
でも、自分にとって何か特別なことをしてくれたら、日本人でも「ありがとうって言う。たとえば、道で誰かに助けてもらったとか。そういうときは、thank you(どうも)ではなくて、もっと深い感謝の言葉を述べるべきなんだけど、日本語だと「ありがとう」になるから、その場合も thank you と言ってしまうことが多い。でも気持ち的に収まらないので、thank you, thank you. と何度も何度も繰り返したりする。
日本人は、ちょっとした時(カナダ人が thank you という場面)で言わないことが多いのは事実。
でも、英語を話してる人には、なんで日本人が、thank you を言わなきゃいけないときに出し惜しみして、言わなくてもいいとき(他の言葉で表現するべき状況)で thank you を連発するのか、わからない。
面白いね。日本人は気軽に謝るけど、気軽に thank you とは言わない。
カナダ人は気軽に thank you って言うけど、気軽には謝らない。
日本人は謝らないカナダ人を見て、へっ?なんて奴らだ!と思うし、カナダ人は感謝の一言がない日本人を見て、へっ?なんて奴らだ!と思うし。
まぁ、どっちが良いというのではなく、単に文化、発想、習慣の差だね。
そうそう、そういう所が、日本人が Thank you を出し惜しみしてるって感じられるところなんですよね。
出し惜しみってのは少し言い方が悪いですが、普通に会話していて、無意識に thank you が来るはずのところで、thank you が来ないと、会話してて肩透かしっていうか、アレレ? thank you なし??ってガクッってきちゃう。特に No thank you. とか、 Yes, please. とか、thank you と please についてはカナダ人は子供の時にクセになるように教えられますから、あって当然、ないと意識的につけてないのかと思うんです。
もうちょっと言うと、クシャミをして、Bless you! と言った後に、Thank you が返ってこないのも気持ち悪いし、Welcome! と言った後に、Thank you が返ってこないのも気持ち悪い。でも、こういうのって、周りの人を見ながら(子供が大きくなる過程で学ぶように)覚えていくしかないと思います。
そういえば私がここに来たばかりのころ、How are you? が苦手でした。日本じゃ、疑問形で挨拶して、相手から答えを期待するという場面って、ある程度親しい人しかしないですよね。
でも、ここではレジの人とか、全然知らない人が how are you? って言ってくるんです。日本じゃ、店員は「いらっしゃいませ」だからこちらは応答する必要ないし、見知らぬ人は話し掛けてこないから応答しなくてすむしから、最初は戸惑いっぱなしでした。でも、こういう応答の習慣って、ある程度慣れないと、身についてゆかないものだと思います。